有限会社 レンテック
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EPS_TOP
NM-1
Neutral Maker for Electric Power Steering
仕組



仕組

1.はじめに

 まず、「既存の電動パワーステアリングを中立感のある自然な操舵フィーリングに変えます」
と言っても、NM−1がそのように機能する訳ではありません。

 元々、正しい状態の全ての車両は、パワーステアリング装置が取り付けられていなければ、
中立感のある自然な操舵フィーリングになるように作られています。
そして、その自然な操舵フィーリングの車両に、内部に摺動部を持つ電動パワーステアリングを
取り付けると、摩擦による抵抗が大きいだけでなく、静止摩擦力と動摩擦力が大きく変化するため、
不自然な操舵フィーリングになるのです。

 それでは、油圧パワーステアリングは、なぜ自然な操舵フィーリングなのでしょうか?
それは、操舵アシストをしないときの、油圧ポンプから操舵アシストをする油圧シリンダ−への
油路を切り換えるバルブの状態が、右旋回方向と左旋回方向に操舵アシストする2つの油路が
互いに通じた状態になっていて、油圧の高低に関わらず、油圧シリンダー内にある、操舵機構を
動かすピストンの両側に同じ圧力が作用するため、ピストンは何れの方向にも力を生じないので、
操舵機構は、油圧パワーステアリングに邪魔されずに、自由に動ける状態になるからです。

 そこで、 NM−1は、油圧パワーステアリングと同様に、直進時や旋回から直進に戻るときなど、
操舵アシストをしないときに、操舵機構と電動パワーステアリングとの間の動力をほぼ切断して、
操舵機構が、電動パワーステアリングに邪魔されずに、自由に動ける状態にすることによって、
車両に、本来の特性である、中立感のある自然な操舵フィーリングを取り戻させます。


2.構造

 下図が電動パワーステアリングにNM−1を取り付けた状態の断面です。


・ NM−1は、電動パワーステアリングのウォーム減速機とアシストモーターの間に
  挟むように取り付けます。
・ ウォームに軸方向にプリロードを加える押さえネジは、ウォームが軸方向に約1mmの
  ストロークで移動できるように、再調整されています。
・ アシストモーター軸の回転がウォームに伝わるように、カップリング(A)、(B)で接続されて
  います。
  カップリング(A)とカップリング(B)は、回転方向には遊びはありませんが、
  軸方向には多少移動できるようになっていて、バネで互いに離れるようになっています。
  そのため、カップリング(B)は常にウォームと一体となって軸方向に移動します。
・ ウォームの軸方向の位置変化は、カップリング(B)の外周に取り付けられたセンサーリングの
  軸方向の位置変化になって、センサーで検出されます。
・ 制御モーターは、シンクロベルトを介してカップリング(A)、(B)を回転させることによって、
  アシストモーター軸とウォームを回転させます。


3.制御

 上図のように、ウォームの軸方向位置が隙間L=隙間Rの状態から、NM−1の制御をしないで
ステアリングホイールでステアリング軸を回すと、ステアリング軸の回転角度は非常に小さいですが、
先ず、ウォームが軸方向に動き、隙間Lまたは隙間Rが0(ゼロ)になり、さらにステアリング軸を
回すと、ウォームとアシストモーター軸を回すようになります。

 そして、この時のステアリング軸を回すトルクは、 隙間Lまたは隙間Rが0(ゼロ)になるまでは
小さく、さらにウォームとアシストモーター軸を回すようになると非常に大きくなります。
これは、ウォームとウォームホイールの間に、遊びが生じ無いように、強いプリロード(予圧)が
加えられていて、ウォームとウォームホイールが摺動するときに大きい摩擦力が働くことと、
さらに、アシストモーター内の整流子などの摩擦による小さなトルクでも、ウォームとウォーム
ホイールの減速比で倍力されて、さらに強い力でステアリング軸の回転を止めるように働くからです。

 そこで、NM−1は、ウォームホイールとウォームのどちらを回しても、ウォームの軸方向位置が
変化することを利用して、コントローラーが、ウォームの軸方向位置の変化に応じて、制御モーターを
使ってウォームを回転させることによって、ステアリング軸の回転角度に関わらず、常にウォームの
軸方向位置が隙間L = 隙間R になるように制御します。

 この制御によって、
 先ず、操舵アシストをしないときには、アシストモーターに電流は流れませんから、
アシストモーターによるウォームの回転を止めようとするトルクは、制御モーターがウォームを
回そうとするトルクより小さいので、制御モーターによって、ウォームの軸方向位置は
常に隙間L=隙間Rになるように制御されます。
そのため、ステアリング軸の回転方向や回転角度の大きさに関わらず、常に隙間Lと隙間Rは
存在しますので、ステアリングホイールによる操舵、または、セルフアライニングトルクのいずれに
よっても、ステアリング軸は常に小さなトルクで回すことができます。

 次に、 操舵アシストが始まり、アシストモーターの電流が徐々に増えてくると、
アシストモーターがウォームを回そうとするトルクは制御モータ−がウォームを回そうとする
トルクより大きくなりますから、制御モーターによるウォームの軸方向位置の制御は不能になり、
隙間Lまたは隙間Rが0(ゼロ)になると共に、
従来通り、操舵アシストされて、操舵力が小さい快適な操舵が可能になります。



*ご参考

 NM−1は、既存の電動パワーステアリング(EPS)に後から取り付けをするために、
上図のように構造が複雑になっていますが、
特許第5704491号 電動パワーステアリング装置」のように、ウォームの軸方向位置の制御を
アシストモーターに兼用させれば、下図( 特許実施例)のように非常に簡単な構造となり、
従来のものに若干のコストアップで同じ機能が実現できるようになります。